緊急声明 歴史研究者として、学術研究の独立性を毀損する日本学術会議の法人化に反対し、日本学術会議法案の廃案を求める
歴史学研究会は、日本の歴史学研究を代表する学会のひとつとしての信念に基づき、2025年3月7日に閣議決定され、今通常国会において審議中の日本学術会議法案の廃案を強く求める。本法案は、学術研究者による自律的な会員の選考と、政府の介入を受けない独立した活動であるべき学術研究の自由を毀損し、それにより、「ナショナル・アカデミー」としての日本学術会議の意義を侵害するものであり、その成立に断固反対する。
今から80年前の敗戦に至るまでの時期、歴史学をはじめとする日本の学術研究は、自由で民主的な社会の構築にむかうことなく、戦争の開始と遂行に関与した。1932年に創立した歴史学研究会は、戦前期におけるこのような経験に対する強い反省に立脚し、学術研究の自律的な営みが、自由で民主的で平和な社会の存立基盤であることを確信して、その追求を使命とする。
日本の学術研究が、将来にわたって日本社会と世界に対して真に貢献するため、本法案を廃案とし、学術研究の独立と自由に基づいた日本学術会議のあり方を引き続き議論することを求める。
2025年5月2日
歴史学研究会委員会