新刊

21世紀の歴史学1『歴史のなかの外交儀礼』

21世紀の歴史学1『歴史のなかの外交儀礼』
績文堂出版 2025年11月25日刊行 定価3,630円(税込)

異なる政治、社会、文化を背景にもつ当事国間で行われる外交儀礼の分析から、両国の関係はもとより国家内部の協調や妥協、葛藤を浮き彫りにし、分断が進む現代社会の課題を克服する新たな視点を提示する。

第Ⅰ部 外交儀礼にみる日本
第1章 外交儀礼の重層性(浜田久美子) 
    —渤海使への饗宴を中心に—
第2章 外交儀礼論の射程(橋 本 雄) 
    —室町時代の日明関係を中心に—
第3章 近世日朝関係における釜山と対馬での外交儀礼について(米 谷 均) 
    —粛拝を中心に—
第4章 幕末外交儀礼を研究すること(佐野真由子) 
    —「外交の文化史」を開く—
第5章 「皇室外交」と象徴天皇制(河西 秀哉) 
    —政治的意味を含んだ「外交儀礼」—

第Ⅱ部 外交儀礼にみる世界—琉球から東部ユーラシアまで—
第6章 10〜13世紀多極共存時代のユーラシア東方における外交儀礼(古松 崇志) 
    —契丹(遼)・金・宋を中心に—
第7章 18、19世紀における琉球国の外交儀礼(麻生 伸一) 
    —座敷飾り、起請文、国王衣冠を中心に—
第8章 清代外交使節の謁見と国書(柳 澤 明) 
第9章 外交儀礼からみる高宗の外交政策(森 万佑子) 
    —大韓帝国成立に伴う叩頭礼消滅の意味—

『データサイエンスが拓く歴史学』

歴史学研究会編『データサイエンスが拓く歴史学』
大月書店 2025年5月23日刊行 定価3,850円(税込)

コンピュータを用いた量的分析が質的分析をどのように深化させるのか。データ分析から相関関係のみならず因果関係を導出することは可能か。また、地理・空間情報の解析を通して何が見えてくるのか。デジタル技術活用の実例から論じる。

総論 計算と解釈の間――歴史家のデジタル・キッチンへようこそ(小風尚樹)

第Ⅰ部 量と質の相互補完
概論(村井 源)
第1章 テキストデータの構造化と文献研究――明清時代カトリック漢訳教理書の事例(王 雯璐)
第2章 原爆記念日の社説から見た被爆地広島の平和意識の変容(渡壁 晃)
第3章 日英村落史的対比研究とデータ分析――過去・現在・近未来(髙橋 基泰)
コラム1 テキスト分析の手順(竹内 綾乃)

第Ⅱ部 相関から因果へ
概論(長野 壮一)
第4章 データ分析に見る近代フランス地方幹部候補行政官の性質変化――ピレネー=オリアンタル県参事会員を事例として(岡本 託)
第5章  戦後日本における農家の労働と出産の季節性――世帯単位データによる統計分析(五十嵐 英梨香)
第6章 明治末期日本における大気汚染と乳児死亡――計量分析によるアプローチ(井上 達樹)
コラム2 定量的な分析に必要な基本概念とその限界(中川 奈津子)

第Ⅲ部 地理・空間情報の解析
概論(後藤 真)
第7章 古代吉備の開発と渡来民(今津 勝紀)
第8章 明治7年の種痘規則布達に伴う足柄県東部における天然痘罹患率・死亡率急減の可能性――「江戸時代における人口分析システム(DANJURO)」 による分析結果(川口 洋)
第9章 明治期地籍図の再評価とGISを用いた歴史的景観研究(福村 任生)
第10章 衛星データの活用と中国古代史研究――秦漢時代の「牧」を事例として(村松 弘一)
コラム3 歴史GISの有用性(山中 美潮)

『「主権国家」再考―近代を読み替える』

中澤達哉責任編集/歴史学研究会編『「主権国家」再考―近代を読み替える』
岩波書店 2025年4月16日刊行 本体4,730円

長い宗教対立と戦争の後、国家同士が互いの「主権」を尊重しあうウェスファリア体制が生まれた、といわれる。しかし、「主権」を主張した他国への侵略や人道危機が後を絶たない。なぜ「主権」国家は争い合うのか。複合・礫岩国家、帝国、国民国家が織りなす「主権」の多様性を歴史的にひもとき、近代の初発を問い直す。

 はじめに――いま「主権国家」を論じる意味(中澤達哉)

 序 章 主権という概念の歴史性(近藤和彦)
 
第Ⅰ部 複合君主政/礫岩国家―近世主権国家
 第1章 君主政の狭間から見る近世的主権国家(古谷大輔)
 第2章 一七世紀ブリテン諸島における礫岩国家・主権・法の支配(後藤はる美)
 第3章 ブルゴーニュ国家のかたち―複合君主政のネーデルラント的経験(青谷秀紀)
  
第Ⅱ部 帝国論の再定位―近世〜近代主権国家(1)
 第4章 イギリス帝国とインド―主権を分有する帝国(稲垣春樹)
 第5章 ロシア帝国―専制・臣民・領域(青島陽子)
 第6章 近世「帝国」としての大清帝国―マンジュ(満洲)による集塊とその構造(杉山清彦)

第Ⅲ部 国民国家の再点検―近世〜近代主権国家(2)
 第7章 競合する主権と国民国家―アメリカ革命の風土(石川敬史)
 第8章 帝国の一体性と諸国民の主権―フランチシェク・パラツキーのハプスブルク帝国国制論(篠原 琢󠄀)
 第9章 オスマンからトルコへ、機能の分立から権力の集中へ―ジェラーレッティン・アーリフ、政治家と法学者のあいだ(藤波伸嘉)
 第10章 ネイションの外縁とジェンダー―イタリアの境界をめぐって(小田原琳)
  
第Ⅳ部 翻訳される主権―近世〜近代主権国家(3)
 第11章 近世イタリア諸国の「主権」を脱構築する―神聖ローマ皇帝とジェノヴァ共和国(皆川卓)
 第12章 オスマン帝国とアフリカ分割(大河原知樹)
 第13章 「藩属」から「主権」へ―中国の生成として(岡本隆司)
   
第V部 主権国家と政治思想
 第14章 政治思想としての主権と国家―ボダン再読(安武真隆)  
 第15章 近世フランスの主権と国家―ボダンの受容のあり方をめぐって(佐々木真)

 終 章 主権・王冠・レスプブリカ―ハンガリー・ジャコバンの「王のいる共和政」論と国民主権分有論の淵源(中澤達哉)  

  あとがき

シリーズ刊行物

日本史史料歴史学研究会 編
世界史史料歴史学研究会 編
日本史講座歴史学研究会・
日本史研究会 編
歴史学の現在 歴史学研究会 編
港町の世界史 歴史学研究会 編
地中海世界史 歴史学研究会 編
日本史年表 歴史学研究会 編
世界史年表 歴史学研究会 編
現代歴史学の成果と課題 歴史学研究会 編

その他の刊行物

2024年06月刊行『日本復帰50年 琉球沖縄史の現在地』歴史学研究会編
2024年05月刊行ロシア・ウクライナ戦争と歴史学』歴史学研究会編
2023年06月刊行『「戦前歴史学」のアリーナ ――歴史家たちの一九三〇年代』歴史学研究会編
加藤陽子責任編集
2022年12月刊行『「人文知の危機」と歴史学 ――歴史学研究会創立90周年記念』歴史学研究会編
2022年05月刊行『アカデミズムとジェンダー ――歴史学の現状と課題』歴史学研究会編
2022年04月刊行『「歴史総合」をつむぐ ――新しい歴史実践へのいざない』歴史学研究会編
2020年12月刊行『コロナの時代の歴史学』歴史学研究会編
中澤達哉・三枝暁子監修
2019年05月刊行『歴史を未来につなぐ
 ――「3・11からの歴史学」の射程』
歴史学研究会編
2019年02月刊行『天皇はいかに受け継がれたか
 ――天皇の身体と皇位継承』
歴史学研究会編
加藤陽子責任編集
2018年12月刊行『創られた明治、創られる明治
 ――「明治150年」が問いかけるもの』
日本史研究会・歴史科学協議会・
 歴史学研究会・歴史教育者協議会編
2017年05月刊行『歴史を社会に活かす
 楽しむ・学ぶ・伝える・観る』
歴史学研究会編
2015年05月刊行『歴史学と、出会う
  ――41人の読書経験から』
歴史学研究会編
2014年12月刊行『「慰安婦」問題を/から考える
 ――軍事性暴力と日常世界』
歴史学研究会・
日本史研究会編
2014年10月刊行『史料から考える 世界史20講』歴史学研究会編
2013年05月刊行『歴史学のアクチュアリティ』歴史学研究会編
2012年12月刊行『証言 戦後歴史学への道』歴史学研究会編
2012年05月刊行『震災・核災害の時代と歴史学』歴史学研究会編
2007年02月刊行『歴史学研究』別冊 総目録・索引
 1933年(NO.1)~2006年(NO.822)
歴史学研究会編
2005年08月刊行『歴史研究の現在と教科書問題
 ――「つくる会」教科書を問う』
歴史学研究会編
2004年11月刊行『歴史教科書をめぐる日韓対話
 ――日韓合同歴史研究シンポジウム』
歴史学研究会編
『岩波デジタル歴史年表』歴史学研究会編
2002年12月刊行『戦後歴史学を検証する
 ――歴研創立70周年記念-』
歴史学研究会編
2001年11月刊行『歴史家のよむ「つくる会」教科書
 ──その“おもしろさ”の内幕』
歴史学研究会編