その他の刊行物
『日本復帰50年 琉球沖縄史の現在地』
東京大学出版会 2024年6月4日刊行 本体3,600円
沖縄の日本復帰から50年を経て、沖縄の視点から日本史の本質的な理解につながる研究が進展し、あるべき沖縄の関係性がつむぎ直されるようになってきた。本書は、史料的にも散逸・焼失もあって平坦ではなかった沖縄の歴史研究の軌跡をたどりながら、一地域史に留まらない視座を提示し、展望をひらく。
まえがき(古波藏 契)
第Ⅰ部 復帰の歴史を考える
第1章 沖縄返還にみる占領特権の制度化(吉本 秀子)
第2章 東アジア冷戦と沖縄(成田 千尋)
第3章 医療福祉から考える沖縄の米軍占領(増渕 あさ子)
第4章 軍事資本主義の生政治に抗う反開発闘争(上原 こずえ)
第5章 日常のなかの冷戦(古波藏 契)
第Ⅱ部 復帰と琉球沖縄史研究の変容
第6章 沖縄の近世・近代転換期をめぐる研究史(前田 勇樹)
第7章 徳川帝国のなかの琉球―従属と自律の相剋(豊見山 和行)
第8章 〈南洋群島〉という社会空間の生成(森 亜紀子)
第9章 戦後沖縄における資料収集・編纂と近年のデジタルアーカイブの取り組み (山田 浩世/小野 百合子)
『ロシア・ウクライナ戦争と歴史学』
大月書店 2024年5月22日刊行 本体2,700円
ロシアによるウクライナ侵攻。それは、現実政治のみならず、歴史学に新たな課題をつきつけている。そもそもウクライナとは何か、ロシア史の再点検や周辺諸国の歴史認識の変容の検討、「帝国論」「ナショナリズム論」など多面的に考察する。
序 章 ロシア・ウクライナ戦争と歴史学(佐々木 真)
第Ⅰ部 ウクライナとは何か
第1章 現代の政治的文脈におけるウクライナとロシアのネイション観―「帝国」と「脱植民地化」を手がかりに(青島 陽子)
第2章 コサック研究とウクライナ史学(松里 公孝)
第3章 ウクライナとポーランド=リトアニア―ポーランド近世史研究者の視角から(小山 哲)
第Ⅱ部 歴史との対話
第4章 フィンランドにおける対ソ戦争認識の変遷と現状―ウクライナ侵攻との関連で(石野 裕子)
第5章 変容するポーランド=ウクライナ関係と歴史認識―「ヴォウィン事件」80周年を手がかりに(宮崎 悠)
第6章 第二次世界大戦を「過去に葬る」―現代史の見直しと冷戦体制の克服(篠原 琢)
第Ⅲ部 戦争と歴史学への視座
第7章 冷戦後の国際秩序を問い直す―ヨーロッパ国際政治史研究の視点から(板橋 拓己)
第8章 ロシア・ウクライナ戦争と現代歴史学の新しい課題―帝国・主権・ナショナリズム(中澤 達哉)
第9章 私にとってのロシア・ウクライナ戦争―ロシア史研究者として(池田 嘉郎)
『「戦前歴史学」のアリーナ ――歴史家たちの一九三〇年代』
歴史学研究会編・加藤陽子責任編集 東京大学出版会 2023年6月7日刊行 本体2,500円
戦後歴史学が批判すべき対象としていた「戦前」の歴史学について、その出発点を1930年代に生まれた新しい歴史学の潮流のなかに見出す。多様な歴史学が興隆するなか、そこで生まれた歴史学研究会と、それを牽引した歴史家たちがたどった戦中・戦後も射程に入れて、現代の歴史学が切りひらく視座を提示する。
まえがき(加藤陽子)
1 一九三〇年代の歴史学の「刷新」と黎明期の『歴史学研究』(加藤陽子)
【コラム1】 確かな「一隅」を築く試み(戸邉秀明)
2 「宮崎市定」の誕生――一九三〇年代の軌跡(井上文則)
3 一九三〇年代の歴史系学会と史学史ブーム(佐藤雄基)
【コラム2】 昭史会の野郎ども(木下竜馬)
4 社会経済史学会の創立と一九三〇年代前後の社会経済史研究(馬場 哲)
5 戦前東洋史学の展開と歴史学研究会の創立者群像(小嶋茂稔)
【コラム3】 一九三〇年代の『歴史学研究』にみる地方郷土史家へのまなざし(古畑侑亮)
6 歴史学研究会と二つの皇国史観――平泉澄・吉田三郎を中心に(昆野伸幸)
【コラム4】 「戦前歴史学」における軍事史・戦争史研究の一側面――原種行の研究を例に(三澤拓弥)
7 両大戦間期フランス歴史学界における危機と刷新――L.フェーヴルの視点から(舘 葉月)
【コラム5】 黎明期の西洋史部会――その課題と取り組み(十川雅浩)
8 「左派外交史学」の曙光――一九三〇年代日本のマルクス主義史家たち(前田亮介)
あとがき (下村周太郎)
『「人文知の危機」と歴史学 ――歴史学研究会創立90周年記念』
編集・発行:歴史学研究会、発売:績文堂出版 2022年12月18日刊行 本体1,800円
1932年に創立された歴史学研究会の歩みを振り返り、現代社会における人文知のあり方の劇的な変容の要因を座談会と資料から問う。
第Ⅰ部 人文知の危機
座談会 人文知の危機
宇山智彦 隠岐さや香 久保亨 久留島典子 佐藤大介
加藤陽子 佐々木真 松原宏之 下村周太郎
座談会「人文知の危機」を読み解くために(加藤陽子)
第Ⅱ部 一九八〇・九〇年代の歴研と歴史学
座談会 一九八〇・九〇年代の歴研と歴史学
加藤博 木畑洋一 小谷汪之 若尾政希
加藤陽子 佐々木真 下村周太郎
寄稿
一九八六~一九八九年度の「歴研体験」と私(吉田伸之)
一九八〇・九〇年代の〈歴史学研究会と私〉をめぐる試行錯誤(大門正克)
一九九〇年代後半の歴史学研究会(藤田覚)
第Ⅲ部 資料
歴史学研究会年表 2012年~2022年
歴史学研究会関係出版図書一覧 201212月~2022年12月
委員会組織変遷表 1932年~2022年
お詫びと訂正
この度は弊会の本をご購入いただきましてありがとうございました。
『「人文知の危機」と歴史学 ――歴史学研究会創立90周年記念』におきまして、「歴史学研究会年表」に誤りがありました。
大変ご迷惑をおかけいたしました。心よりお詫びして訂正申し上げます。
誤りのあった箇所は、186‐188頁に記載されている2016年度大会の内容です(2015年度大会の内容が重複して記載されていました)。
2016年度大会の正しい内容は、「2016年 大会の正しい内容」(PDF)を用意いたしましたので、下記よりダウンロードくださいますようお願いいたします。
『アカデミズムとジェンダー ――歴史学の現状と課題』
歴史学研究会編 有信 真美菜・大江 洋代・清水 領・芹口 真結子・高野 友理香・寺本 敬子・三枝 暁子 著
績文堂出版 2022年5月30日刊行 本体1,800円
ジェンダー平等はもはや「女性の問題」ではない!
キャリア形成、結婚・出産の壁、さまざまなハラスメント――女性研究者が抱える「生きづらさ」の背景をアンケート調査・資料などをもとに明らかにするとともに、男性研究者を交えた座談会を収録し、困難な状況を共に克服する方途を探る。
刊行にあたって
序
第1部 女性歴史学研究者の現在
第1章 女性研究者のキャリア形成をめぐる現状と課題 はじめに/1 大学・大学院におけるジェンダーをめぐる壁/2 非常勤講師のおかれている現状/3 女性の「研究時間」をめぐる現状/4 再生産労働と女性の「研究時間」/5 ハラスメントをめぐる現状/おわりに――現実と「政策」のはざまで
第2章 結婚・出産・育児と女性研究者 はじめに/1 女性研究者の就業と結婚・出産・育児/2 世帯形成と妊娠・出産の壁/3 育児支援とその不足/4 女性と家庭をめぐるジェンダー・バイアス/おわりに
第1部 おわりに
第2部 歴史学に参入する女性研究者の歴史
第1章 女性が歴史学を研究するということ――西洋編 はじめに/1 科学知における女性観、「近代」における男女の性的役割分担/2 高等教育への女性の参入/3 歴史の周辺にいる女性――歴史家の補助職としての女性、正規職に就いた女性/4 歴史学における女性の少なさと、その背景/5 一九六〇年代後半のフェミニズム運動と女性史の発見/6 女性たちの歴史家という職業への参入運動/おわりに
第2章 女性が歴史学を研究するということ――日本編 はじめに/1 制度的障壁を乗り越えて――戦前/2 制度的障壁の撤廃と女性歴史学研究者の誕生――戦後/3 女性歴史学研究者による地位向上運動――一九七〇年代/おわりに
第3部 座談会――歴史学におけるジェンダー平等を展望する
はじめに/1 自己紹介/2 なぜ座談会を開くのか/3 女性歴史学研究者のキャリア形成をめぐって/4 ハラスメントをめぐる問題/5 史学史のなかの女性とジェンダー史のいま/6 分断をどう乗り越えるか/おわりに――座談会を終えて
結びにかえて
『「歴史総合」をつむぐ ――新しい歴史実践へのいざない』
歴史学研究会編 東京大学出版会 2022年4月28日刊行 本体2,700円
歴史の学びはどう変わるか――
高校の新科目をめぐって歴史研究者たちが考える実践と
現場から考える新しい授業のかたち
新しく高等学校でスタートする「歴史総合」の授業で、歴史の学び方は大きく変わる。「歴史の扉」をはじめとする大項目に対応した実践を、具体的なテーマで史料も提示しながら展開する。本書の事例を学習の現場でどう活用するか、授業づくりへのアイデアも提起し、これからの歴史への展望をひらく。
はじめに──「歴史総合」と歴史研究
[歴史の扉]
①史実の作られ方・歴史像の形成
(第1講)吉田松陰の虚像を剥ぐ(須田 努)1. 歴史修正主義と反・知性主義/2.「思想家」という思い込み /3.「教育者」という情念/4. 松陰とは何者であったのか
②「豊かな生活」の成り立ち
(第2講)飢餓と飽食の時代(藤原辰史)1. 飽食と文明/2. 飢餓を思い起こせ/3. 誰かを計画的に飢えさせる政策/4. 国際問題としての飢餓/5. 肥満と飢餓
(第3講)飽衣の時代(杉浦未樹)1.「使い捨て」の時代の先は/2. 1枚の服に隠されたグローバルな旅/3. 最近30年間に急拡大した古着交易/4. コットン(綿)──世界史を動かした繊維/5. 一つ買ったらほかも買いたくなる──ディドロ効果/6. 低賃金を礎とする生産──「貧しさ」の連鎖/7. 現在地──新たな豊かさを探して
③「日本」の枠組み
(第4講)占領と沖縄基地問題(鳥山 淳)1. 基地問題の原点としての沖縄戦/2. 基地の拡充と立退き/3. 結束した沖縄の人々/4. 米軍基地の「シワ寄せ」という問題 /5. 裏切られた「祖国復帰」/6.「県内移設」が意味するもの
(第5講)アイヌの人々への「同化」政策(谷本晃久)1. 同祖と同化/2. 劣位の編入/3. 近代の「同化」政策
[近代化と私たち]
④女性の歴史
(第6講)女性の政治参加(大江洋代)1. 女性のいない立憲制/2. 明治期の婦人参政権獲得運動/3. 大正期婦人参政権獲得運動/4. 昭和戦前戦中期における婦人参政権獲得運動/5. 敗戦と婦人参政権の実現/6. 戦後女性政治家の群像/7. 現在地──なぜ女性政治家が増えないのか
(第7講)主婦と働く女性(佐藤千登勢)1.「新しい女」の登場/2.「幸せな主婦」像/3. 家庭か仕事か/4. 理想的な家族像の形成/5. 第二波フェミニズムの興隆/6. 現在地
⑤産業革命
(第8講)産業革命はなぜ「革命」と呼ばれるのか(長谷川貴彦)1. 革命論の系譜/2. リハビリテーションの解釈/3. 「大分岐」に向けて
(第9講)時間認識の変化(橋本毅彦)1. フランクリンと時間/2. 時計の起源と発展/3. 18世紀における時計の普及と時間規律/4. 交通の発展と時計/5. 日本の近代化と定時法の導入
⑥政治の担い手
(第10講)共産主義の展開(池田嘉郎)1. 名もなき人が英雄になる/2. 共産主義思想/3. ロシア革命/4. 20世紀世界と共産主義
(第11講)立憲政治の地域的差異(金子 肇)1. 近代中国と立憲政治/2. 中国の議会選挙/3. ケルゼンの決意と東アジアの今
⑦近代社会と宗教
(第12講)イスラーム世界と近代化(三浦 徹)1. 憲法における信教の自由/2. 政教分離と世俗化/3. イスラームにおける政教関係/4. 現代における宗教復興/5. 宗教と向き合う
(第13講)近代日本の「宗教」(畔上直樹)1. 西洋独特の「レリジョン」に面食らう/2.「文明」とレリジョン/3. レリジョンの訳語「宗教」の登場/4. 大日本帝国憲法下のレリジョン/5. 現代日本の私たちとレリジョン
[国際秩序の変化や大衆化と私たち]
⑧ファッションの形成
(第14講)身体装飾の歴史(阿部恒久)1. ヒゲ無しの近世からヒゲ有りの近代へ/2. 第一次世界大戦後はヒゲ無しが広がる/3. ヒゲ有りとヒゲ無しが共存した軍国主義時代/4. 戦後のサラリーマン世界に広がるヒゲ無し/5. 経済大国化・国際化時代のヒゲの様相
(第15講)ファッションの歴史(平芳裕子)1. 近代化の象徴としてのスーツ/2. 開国後のドレスと大正期の子供服/3. 女性服の変化と洋裁技術の普及/4. 戦時下の国民服ともんぺ/5. 戦後の流行現象と既製服の発達/6. ファッションデザインの発展/7. グローバル化における日本のファッション
⑨「1968年」の広がり
(第16講)民衆運動とプロテスト・ソング(油井大三郎)1. アメリカの公民権運動とプロテスト・ソング/2. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の誕生/3. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の日本への越境/4. 結びにかえて
(第17講)人として生きられる社会への希求(荒川章二)1. 成田空港の建設と地元高校生/2.「百姓だって人間だ」/3. 主体性と民主主義
⑩二つの世界大戦
(第18講)兵士たちから見た世界大戦(小野寺拓也)1. 戦争の世紀と「ふつうの人々」/2. 敵国の住民への憎悪や蔑視/3. 史料の性格について/4.「例外的」な人々をどう考えるか
(第19講)戦争へのプロセス(加藤陽子)1. 戦後の国際秩序の特徴と改造運動の始まり/2. 経済的な国際協調体制/3. 世界恐慌と戦後秩序への挑戦/4. 新しい地域秩序と戦争観
[グローバル化と私たち]
⑪カタストロフの心性
(第20講)災害をめぐる民衆心理(大門正克)1. 阪神・淡路大震災/2. 関東大震災/3. 阪神・淡路大震災とそれ以前の地域社会──1970・80年代/4. グローバル化のなかで
(第21講)感染症への認識(福士由紀)1. グローバル化と感染症/2. 医学・公衆衛生と感染症/3. 近代日本のコレラと民衆
⑫移民
(第22講)日本からの移民(今泉裕美子)1. 太平洋島嶼への渡航から始まる日本の海外移民/2. 赤道以北ドイツ領太平洋諸島の占領と日本からの移民の始まり/3. 委任統治と移民/4. 本籍地別人口にみる移民の特徴と植民地社会/5. 移民と現地住民/6. 「海の生命線」としての開発と移民/7. 日米開戦から米軍による占領、引き揚げへ/8. 「南洋群島」を抱え、戦後を生きる
(第23講)移民国家アメリカの二つの顔(貴堂嘉之)1. 坩堝のアメリカ──移民が海を渡る理由/2. 移民国家の法制度と移民排斥運動/3. 連邦移民出入国管理での移民たち──東海岸のエリス島と西海岸のエンジェル島/4. 移民制限の時代へ──移民政策海外への影響
⑬冷戦下の国際社会
(第24講)キューバ危機(上 英明)1. 冷戦とは何か/2. 脱植民地化と冷戦/3. キューバ危機への道/4. ケネディ神話という歪んだ記憶/5. 危機の本質とは──暴発の危険/6. 危機の教訓──核エネルギーと人間
(第25講)人の自由移動と冷戦体制の終わり(伊豆田俊輔)1. 人の自由移動と世界史のつながり/2. 国際関係の変動/3. 市民社会の再生/4. 移動の自由の進展? それとも後退?
⑭植民地支配の問い直し
(第26講)アメリカの公民権運動(中條 献)1. 奴隷制廃止後の人種隔離と差別/2. 運動の高まりと非暴力直接行動/3. 運動の新たな局面/4. 大衆の運動/5. グローバルな視点/6. 現代社会とマイノリティ
(第27講)パレスチナ問題(鈴木啓之)1. 帝国の解体と地域の再編/2. シオニズムと植民地主義/3. 中東の脱植民地化/4. 国際社会とパレスチナ人/5. オスロ合意の署名と遠い和平/6. より望ましい解決を探して
⑮グローバル化と地域
(第28講)アメリカの環境運動(小塩和人)1. 化学物質は健康を守るのか/2. 消費者保護か生産者保護か/3. 環境保護はだれを守るのか/4. 環境正義とは何か/5. 二つの潮流は交わるのか
(第29講)震災からの地域復興(岡田知弘)1.「災害列島」と「災害の時代」/2. 国際的支援と米軍による「トモダチ作戦」/3.「創造的復興」の帰結/4. 被災地の現場で/5.「復興〈災害〉」を超えて
[教室から考える「歴史総合」の授業]
(補講①)いまを主体的に問う(米山宏史)1. 「歴史総合」のねらいと可能性/2. 近代国民国家の同化政策・内国植民地化を考える──諸事象の比較・つながり/3. 近代化と宗教から、政教分離と信教の自由を考察する──自己との関わり、意志決定/4. 兵士の視点から戦場をとらえ、戦争を理解する──当事者の眼で歴史の現場を直視する/5. アメリカの公民権運動から差別の実相と人間の尊厳を学ぶ──現在とのつながり/6. パレスチナ問題の歴史を学び、解決方法を探る──諸事象の推移、現在とのつながり
(補講②)生徒の関心から問う(田中元暁)はじめに/1. 既成の価値観を揺さぶる/2. 女性/3. 身近なところから/4. 比較の視点
(補講③)図像史料を読み取(塚原浩太郎)
『コロナの時代の歴史学』
歴史学研究会編 中澤達哉・三枝暁子監修 績文堂出版 2020年12月刊行 本体1,800円
感染症が問いかけるものに歴史学はいかに応えうるのか
政治と社会の分断、新たな排除と差別、労働・格差・ジェンダー問題
――新型コロナウイルスによって浮き彫りにされた現代社会がはらむ
諸問題に対して、気鋭の歴史家たちが新たな視座を提示する――
序 問題提起:新型コロナウイルス感染症が歴史に問いかけるもの
第一章 感染症拡大の歴史的再検討・歴史学の位置
COVID—19と「感染症の歴史学」(飯島渉)/新自由主義下のCOVID—19(小沢弘明)
第二章 医療史・公衆衛生史のなかの感染症
安政コレラ流行と蘭方医(海原亮)/環境・感染症・公衆衛生-新型コロナウイルス感染症と中国医療社会史研究-(福士由紀)
第三章 感染症をめぐる政治と社会の分断・緊張
新型コロナウイルスの副作用-「感染症の人種化(racialization)」-(中澤達哉)/パンデミックに対峙する福祉国家の経験-「フォルク」の両義性に揺れるスウェーデンの選択-(古谷大輔)
第四章 感染症による現代国民国家の変質
コロナ禍の世界からみる国家と国民の関係の変容(加藤陽子)/コロナ禍と現代国民国家、日本、それに西洋史研究(池田嘉郎)
第五章 感染症が照らしだす人権と差別
感染症と中世身分制度(三枝暁子)/「衛生」と「自治」が交わる場所で-「コロナ禍」なるものの歴史性を考える-(石居人也)/アメリカ社会とコロナ禍-人種マイノリティ差別とブラック・ライヴズ・マター運動-(貴堂嘉之)
第六章 感染症をめぐる格差・労働・ジェンダー
日本古代の疫病と穢(今津勝紀)/パンデミックとジェンダー分業-共同体の公正な存続のために-(小田原琳)
第七章 感染症と歴史実践
コロナ禍/オンライン授業のもとで「考える歴史学」を教える試み-二〇二〇年度春学期の例-(大門正克)/いま歴史研究に何ができるのか-若手研究者問題を中心に-(若尾政希)/変質と忘却の相克-COVID-19下の歴史実践のゆくえ-(北條勝貴)
結びにかえて
『歴史を未来につなぐ――「3・11からの歴史学」の射程』
歴史学研究会 編 東京大学出版会 2019年05月31日刊行 本体3,500円
3・11以降の歴史学はいかにあるべきか,震災直後から取り組んできた歴史研究者が,現代に残された課題にむけて新たな展望を示す。人びとのコミュニティを再生し,記憶をつなぐために歴史学がどのように貢献できるか。学問としての歴史学のあり方を問い直し,未来にむけての投錨を試みる。
総論 「3・11からの歴史学」の現在――2019年の歴史的地平(大門正克)
Ⅰ 3・11からの7年間が問いかけるもの
1 ふくしまの経験と歴史学(阿部浩一)/2 日本の学問と「3・11」(保立道久)/3 東日本大震災がもたらした死者に関わる問題群(北原糸子)/4 大規模自然災害時の歴史研究者と大学の役割――地域の記憶を歴史として継承するために(奥村 弘)
Ⅱ 博物館・美術館展示と地域の復興・再生
1 原子力災害と博物館活動(本間 宏)/2 「災害とミュージアム」リアス・アーク美術館(山内宏泰)/3 地域復興と博物館――陸前高田市立博物館の7年半(熊谷 賢/聞き手 鈴木 茂)/4 記憶をつなぐ――津波災害と文化遺産(小田真裕)/5 震災をめぐる想像力の「収斂」に抗するために(原山浩介)
Ⅲ シリーズ「3・11からの歴史学」提言・時評から
Ⅲ-1 歴史学再考
1 自然災害史研究の射程(峰岸純夫)/2 われわれは東北史になにを学ぶか――3・11以後の歴史学のために(河西英通)/3 過去と現在を行き来する災害史研究――近世の飢饉研究から(菊池勇夫)/4 妊娠から歴史を考える(田間泰子)/5 歴史学が存続するために(高澤紀恵)/6 関東大震災下における虐殺の記憶を継承するために――東日本大震災・ヘイトスピーチ・関東大震災90周年を経て(小薗崇明)/7 私たちは阪神・淡路大震災における被災障害者支援の教訓を生かせているのか(野崎泰伸)
Ⅲ-2 地域の復興・再生と歴史学・史料保存
8 「震災」を経験して(大平 聡)/9 3・11,熊本地震は歴史研究者に何を求めているのか(岡田知弘)/10 「役に立たざるもの」の役に立つこと――災害時と歴史学・資料保全活動の心理社会的意義について(J.F.モリス)/11 熊本における被災文化財レスキュー活動(稲葉継陽)/12 東日本大震災と本(土方正志)
Ⅲ-3 原発開発・原子力災害と歴史学
13 「なかったこと」にさせない思いをつなぐ営みとしての歴史叙述(友澤悠季)/14 原発事故から5年,福島県における農業・農村の現段階(小山良太)/15 「3・11」後の原発政策と反原発運動(佐々木啓)/16 「シン・ゴジラ」はいまどうなっているか?(大串潤児)
座談会 シリーズ 「3・11からの歴史学」の射程
(阿部浩一・大門正克・奥村 弘・北原糸子・保立道久/司会:鈴木 茂)
あとがき(鈴木 茂)
『天皇はいかに受け継がれたか――天皇の身体と皇位継承』
歴史学研究会編 加藤陽子責任編集 績文堂出版 2019年2月15日刊行 本体2,800円
2018年4月に東大で開催され、大反響を呼んだ歴研総合部会例会シンポジウムの成果が、ヴァージョン・アップして今ここに!
歴史上、天皇の存在はいかに位置づけられ、継承の法式はいかに変化したのか。また天皇自身、政治や社会の変化にいかに対応しようとしたのか。この「問い」を、まずは、各時代各領域の第一人者による論文・コラムによって通史的に深くとらえ、さらに、アジアの君主制、ヨーロッパの王政の比較史的視座から、決定版的な論文・コラムによって総力を挙げて迫る。
はじめに(加藤陽子)
Ⅰ 譲位の誕生と幼帝の出現――古代の天皇
「譲位」の誕生(荒木敏夫)/幼帝の出現と皇位継承(仁藤智子)/コラム 諡号・追号・大行天皇号(岩本健寿)/コラム 古代・中世の皇位継承と幼帝(佐伯智広)
Ⅱ 譲位の制度化と中断――中世の天皇
譲位の制度化――中世天皇の世代サイクル構造(新田一郎)/「譲位」の中断と天皇の立場(池 享)/コラム 中世移行期における神社宗廟観と廃朝廃務(井上正望)/コラム 即位年齢の上昇・東宮の変化(遠藤基郎)
Ⅲ 朝幕関係と皇位継承――近世の天皇
近世の皇位継承(藤田 覚)/コラム 皇位継承と天皇・公家の経済(佐藤雄介)/コラム 近世の上皇と皇嗣(村 和明)
Ⅳ 二つの憲法と皇位継承――近代の天皇
皇室典範の制定――明治の皇位継承(西川 誠)/近代の三人目の天皇として――昭和天皇の場合(加藤陽子)/戦後天皇制と天皇――制度と個人のはざまでの退位(河西秀哉)/コラム 皇室財政と皇室財産(加藤祐介)/コラム 代替わりと「おことば」(国分航士)
Ⅴ アジアの君主とその表徴
中国皇帝の譲位と元号(金子修一)/コラム 姿を現すシャー――ガージャール朝イランにおける君主像の表象(小澤一郎)/コラム 近代中国における皇帝の退位と「人治」志向(久保茉莉子)
Ⅵ ヨーロッパの王政と王位継承
ヨーロッパの選挙王政と世襲王政(中澤達哉)/コラム ローマ教皇と世俗権力(永本哲也)/コラム 中世フランスの世襲王政(鈴木喜晴)
『創られた明治、創られる明治――「明治150年」が問いかけるもの』
日本史研究会・歴史科学協議会・歴史学研究会・歴史教育者協議会編 岩波書店 2018年12月19日刊行 本体2,600円
明治改元150年を契機に、様々な形で明治国家、近代日本を礼賛する言説が創り出されている。「明治百年」で創り出された歴史像との比較を踏まえ、それらの何が問題なのか、近代日本の歴史にどのように向き合うべきかを検証する。日本を代表する四つの歴史学会が共催したシンポジウム、待望の書籍化。
https://www.iwanami.co.jp/book/b427312.html
はじめに(石居人也・中澤達哉)
第Ⅰ部 「明治百年」と「明治一五〇年」をめぐる論点
1 「明治一五〇年」・〈明治の日〉・改憲(原田敬一)/2 歴史研究における「明治」をみる眼――「明治百年」から「明治一五〇年」への史学史として(石居人也)/3 明治はどう教えられてきたか――近代の日朝関係を教える課題をめぐって(関原正裕)
第Ⅱ部 「他者」と/から「明治」を問いなおす
4 一国史を超えて――アジアの中の明治(横山伊徳)/5 「明治一五〇年」と朝鮮(加藤圭木)/6 ヨーロッパから明治を問いなおす(割田聖史)/7 隠蔽される過去――明治とジェンダー(平井和子)
第Ⅲ部 「明治」をめぐる現在
8 創られる伝統――可視化される「明治」(長志珠絵)/9 戊辰戦争の記憶と地方自治体における「明治一五〇年」(大江洋代)
【座談会】「明治一五〇年」が問いかけるもの
(石居人也/大江洋代/長志珠絵/小沢弘明/原田敬一/平井和子/司会:中澤達哉)
おわりに(小沢弘明)
『歴史を社会に活かす 楽しむ・学ぶ・伝える・観る』
歴史学研究会 編 東京大学出版会 2017年5月刊行 本体価格3,200円
歴史研究の新たな成果はどれほど社会に伝わっているのか.
研究者と社会とをつなぐ役割をになっている人たちの現場の声と向き合い,
これからの歴史学が取り組むべき課題を示す.
まえがき
I 楽しむ――カルチャーからエンターテインメントへ
1 「バーチャル名護屋城」の試み――佐賀県名護屋城博物館の城復元CG(松尾法博)/2 旅に出て歩いて学ぶ歴史の現場――『観光コースでない』シリーズの誕生(飯塚直)/3 「歴史コンテンツ」と東アジア(堀内淳一)/【コラム①】日韓関係の歴史と観光スポット──景福宮・閔妃殺害現場をめぐって(木村直也)/4 アニメで読み、絵画で見る歴史(藤川隆男)/【コラム②】「暗黒時代」の娯楽──中世ヨーロッパの人々と巡礼(原田晶子)/5 娯楽の自粛について考える――ある観光系学科の講義から(平山昇)/【コラム③】映画の歴史、映画と歴史(金山泰志)/6 文学・大河ドラマと歴史学(小川和也)/【コラム④】「聖地」化する史跡、文化財(植田真平)
II 学ぶ――自ら考える教育の可能性
1 歴史教科書を学び捨てる(水村暁人)/2 学習マンガと歴史学(松方冬子)/3 異次元の西洋史概説へ(森谷公俊)/【コラム⑤】歴史を再現すること──ルーマニア王国とシュテファン大公没後四〇〇年祭(高草木邦人)/4 御真影・学校儀式の戦前・戦後――一九三〇年代から一九六〇年代を中心に(小野雅章)/【コラム⑥】戦前日本の就職難問題(町田祐一)/5 彼らはどう教えられてきたのか――米国歴史教科書における原爆投下(藤田怜史)/6 韓国における「自国史」教育をめぐる葛藤(君島和彦)/【コラム⑦】史学科出身者の社会的役割(石居人也)
III 伝える――多様化するメディアと情報
1 歴史学とメディアの現在(有山輝雄)/2 歴史学・学術書・読者の新たな関係を考える――編集者の立場から(永滝稔)/3 歴史学の研究成果と新聞メディアの役割(栗原俊雄)/【コラム⑧】ヴィシー時代のフランスにおける新聞・ラジオの戦争協力(南祐三)/4 草の根歴史修正主義と伝えきれないメディア――北海道の現場から(長谷川綾)/【コラム⑨】マスメディアと裁判(久保茉莉子)/5 言論の自由と自主規制の相剋――「不偏不党」の形成をめぐって(根津朝彦)/6 ドイツにおける第二次世界大戦の表象――加害国の被害意識をめぐって(川喜田敦子)
IV 観る――博物館は深化する
1 歴史資料を展示する博物館の未来(川村佳男・和田浩・吉野和彦)/【コラム⑩】眼光〝俑〟背に徹す――博物館での発見から(椎名一雄)/2 ピースおおさかの加害展示をめぐる問題状況(横山篤夫)/【コラム⑪】公文書館の国際比較(久保亨)/3 大学博物館は何を発信できるのか――日本女子大学成瀬記念館の活動を通して(吉良芳恵)/4 9・11メモリアル博物館の歴史政治学(東自由里)/【コラム⑫】ロシアの博物館(立石洋子)/5 ヨーロッパにおける歴史博物館と国境地域――二つの事例から(西山暁義)
あとがき(鈴木茂)
『歴史学と、出会う-41人の読書経験から-』
歴史学研究会 編 青木書店 2015年5月刊行 本体価格2,300円
「わたしにとっての1冊」との出会いから、いま「この1冊」を読むことの意味まで―
41人の「ひとりと1冊の物語」で構成されるブックガイド。
読書経験を読む、新しい歴史の入門書をぜひ。
〔第一章〕時代を捉える
遠山茂樹『明治維新』…宮間純一/戸田芳実『初期中世社会史の研究』…鎌倉佐保/佐藤和彦『中世民衆史の方法―反権力の構想』…藤井崇/山口啓二『鎖国と開国…小野将/佐々木潤之介『世直し』…福澤徹三/深谷克己『百姓成立』…大橋幸泰/川北 稔『工業化の歴史的前提―帝国とジェントルマン』…穴井佑/宮地正人『日露戦後政治史の研究―帝国主義形成期の都市と農村』…町田祐一/家永三郎『太平洋戦争』…佐々木啓/吉見義明『草の根のファシズム―日本民衆の戦争体験』…小野美里/ピーター・ブラウン/後藤篤子訳『古代から中世へ』…福山佑子/トニー・ジャット/森本醇・浅沼澄訳『ヨーロッパ戦後史 上・下』…難波ちづる
〔第二章〕変容する国家と境界
吉田孝『律令国家と古代の社会』…田中禎昭/佐藤次高『中世イスラム国家とアラブ社会―イクター制の研究』…熊倉和歌子/朝尾直弘『鎖国』…吉村雅美/高木昭作『日本近世国家史の研究』…牧原成征/坂野正高『近代中国政治外交史―ヴァスコ・ダ・ガマから五四運動まで』…小池求/ジュディス・へリン/井上浩一監訳『ビザンツ―驚くべき中世帝国』…仲田公輔/川島真・服部龍二編『東アジア国際政治史』…杜崎群傑
〔第三章〕みえないものに目をこらす
安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』…上野大輔/ジョナサン・スペンス/山本英史訳『ある農婦の死―十七世紀、中国の現実と夢幻世界』…五味知子鹿野政直『戦前・「家」の思想』…蓑輪明子/デートレフ・ポイカート/木村靖二・山本秀行訳『ナチス・ドイツ―ある近代の社会史ナチ支配下の「ふつうの人びと」の日常』…金田敏昌藤目ゆき『性の歴史学―公娼制度・堕胎罪体制から売春防止法・優生保護法体制』…坂井博美/牧原憲夫『客分と国民のあいだ―近代民衆の政治意識』…細谷亨
〔第四章〕その先の歴史へ
朴慶植『朝鮮人強制連行の記録』…李相旭/ナタリー・Z・ディヴィス/成瀬駒男訳『帰ってきたマルタン・ゲール―16世紀フランスのにせ亭主騒動』…松本礼子/良知力『向う岸からの世界史―一つの四八年革命史論』…高草木邦人/リカルド・ポサス・清水透訳著『コーラを聖なる水に変えた人々―メキシコ・インディオの証言』…川上 英/マルク・ブロック/井上泰男・渡邊昌美共訳『王の奇跡―王権の超自然的性格に関する研究 特にフランスとイギリスの場合』…菊地重仁/杉原達『越境する民―近代大阪の朝鮮人史研究』…大門正克/保苅実『ラディカル・オーラル・ヒストリー―オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践』…松原宏之
〔第五章〕歴史学を問いつづける
宮崎市定『科挙』…梅村尚樹/ハーバート・バターフィールド/越智武臣ほか訳 『ウィッグ史観批判―現代歴史学の反省』…角田和広/色川大吉『歴史の方法』…石居人也/小谷汪之『マルクスとアジア―アジア的生産様式論争批判』…久保亨/遠山茂樹『歴史学から歴史教育へ』…山田耕太/増淵龍夫『歴史家の同時代史的考察について』…福島大我/義江明子『古代女性史への招待―〈妹の力〉を超えて』…稲田奈津子 /遅塚忠躬『史学概論』…平田雅博/米山リサ/小沢弘明・小澤祥子・小田島勝浩訳『広島 記憶のポリティクス』…川口悠子
『「慰安婦」問題を/から考える-軍事性暴力と日常世界-』
歴史学研究会・日本史研究会 編 岩波書店 2014年12月刊行 本体価格2,700円
「慰安婦」問題とは、戦時と平時(日常世界)の関連を視野に入れてはじめて理解できる問題であり、「慰安婦」問題から考える視点では、戦時だけでなく、日常世界を含めた歴史の全体を考えることが要請されます。と同時に、軍隊による管理売春は日本軍に限ったことではなく、世界史のなかにおける軍隊や管理売春、兵士の性欲などを考察・比較する必要があります。「慰安婦」問題から考える地平は世界史にも通じているのです。
-「まえがき」より-
執筆者
宋連玉 金貴玉 吉田裕 永原陽子 永井和 小野沢あかね 松原宏之 内田雅克 貴堂嘉之 横田冬彦 藤永壯 小川輝光 宮城晴美 吉見義明
座談会
猪原透 大門正克 長志珠絵 小野沢あかね 坂井博美 松原宏之
『史料から考える 世界史20講』
歴史学研究会 編 岩波書店 2014年10月刊行 本体価格2,300円
高句麗王の碑文、ギリシア叙事詩、明代の評論や小説、ムスリム年代記、「人権宣言」、アラビア王女の回想、奴隷船航海記録など、多様な史料から歴史を読み解く。
『世界史史料』(全12巻:岩波書店)の姉妹篇というべき一書。
執筆者
李成市 畑守泰子 桜井万里子 三浦徹 岸本美緒 森田安一 高澤紀恵 富永智津子 鈴木茂 小谷汪之 吉澤誠一郎 加藤博 中條献 斎藤治子 伊集院立 木畑洋一 久保亨 内藤雅雄 永原陽子 油井大三郎
『歴史学のアクチュアリティ』
歴史学研究会編 東京大学出版会 2013年5月刊行 本体価格2,800円
I 歴史学のアクチュアリティ――創立80年シンポジウムから
1 中国史研究におけるアクチュアリティとリアリティ(岸本美緒)/2 現代歴史学の挑戦:イギリスの経験(長谷川貴彦)/3 方法としての同時代史(安田常雄)/4 〈境界〉を考える(村井章介)/5 現代史とは何か(栗田禎子)/6 歴史学のアクチュアリティと向き合う(浅田進史)/7 歴史学をめぐる承認―隔離―忘却:ジェンダー史を事例として(藤野裕子)/8 歴史学のアクチュアリティに関する一つの暫定的立場(松沢裕作)
II 討議――歴史学のアクチュアリティ
1 社会史研究と現代歴史学(保立道久・荒木敏夫・服藤早苗・深谷克己・山田賢・北村暁夫)/2 社会主義圏の崩壊・ポスト冷戦と現代歴史学(小沢弘明・伊藤定良・久保亨・栗田禎子)3 新自由主義時代と歴史学の将来/(源川真希・安村直己・加藤千香子・中野聡・戸邉秀明)
『証言 戦後歴史学への道』
歴史学研究会編 青木書店 2012年12月刊行 本体2,800円
解題―歴史学研究会の証言を読むために(大門正克)
戦前・戦中の証言-『歴史学研究 戦前期復刻版 月報』より
三島一・旗田巍・永原慶二・江口朴郎・北島正元・松島栄一・石井孝・三上次男・山本三郎・高橋■一・藤谷俊雄・中村平治・柴三九男・中山八郎・百瀬弘・豊田武・秀村欣二・杉山博・清水博・矢沢利彦・原島礼二・鈴木俊・岩間徹・青木和夫・遠藤元男・阿部猛・太田順三・竹内理三・西村貞二・周藤吉之・小西四郎・林健太郎・石母田正・家永三郎・板倉勝正・藤間生大・向井義郎・高橋譲・四海静・風間泰男・村上正二・江副敏生・村瀬興雄・今堀誠二・川崎新三郎・三浦一郎・尾鍋輝彦・金澤誠・中屋健一・幼方直吉・児玉幸多・田中正義・榎一雄・石原道博・小室榮一・星斌夫・遠山茂樹・藤井宏・古島敏雄・和歌森太郎・山田信夫・鈴木良一・大原利貞・倉橋文雄・西嶋定生 (■…石+眞)
戦後の証言-『歴史学研究 戦後第Ⅰ期復刻版 月報』より
遠山茂樹・永原慶二・井上清・荒井信一・藤間生大・鈴木正四・藤原彰・土井正興・斉藤孝・太田秀通・今井清一・佐藤伸雄・中村義・岡部広治・佐々木潤之介・後藤靖・朴慶植・犬丸義一・津田秀夫・柳田節子・江口朴郎・安良城盛昭・塩田庄兵衛・松尾尊兊・西嶋定生・五井直弘・野沢豊・阪東宏・上原淳道・福田榮次郎・網野善彦・中塚明・柴田三千雄・山根幸夫・松島栄一・古屋哲夫
『歴史学研究』等掲載証言一覧
歴史学研究会年表 2003年~2012年
歴史学研究会関係出版図書一覧 2003年~2012年
『震災・核災害の時代と歴史学』
歴史学研究会編 青木書店 2012年5月刊行 定価2,400円+税
「3・11」後の歴史学のあり方を問う書き下ろし論考・史資料を多数収録
目次(章別執筆者)
Ⅰ 東日本大震災と歴史学-災害と環境
(平川新 保立道久 矢田俊文 北原糸子 小松裕)
Ⅱ 原発と歴史学-「原子力」開発の近現代史
(平田光司 有馬哲夫 加藤哲郎 中嶋久人 石山徳子)
Ⅲ 地域社会とメディア-震災「復興」における歴史学の役割
(奥村弘 岡田知弘 三宅明正 安村直己 藤野裕子)
Ⅳ 史資料ネットワークによる取り組み
(佐藤大介 阿部浩一 白井哲哉 白水智)
Ⅴ 資料編
(石井正敏 棚井仁)
Ⅵ 災害と歴史学 ブックガイド
『歴史学研究』別冊 総目録・索引 1933年(NO.1)~2006年(NO.822)
歴史学研究会編集 青木書店 2007年2月刊行 本体価格3,000円+税
『歴史学研究』総目録(1~822号)
歴史学研究会会報・月報目録
執筆者索引
解題
歴史研究の現在と教科書問題-「つくる会」教科書を問う
歴史学研究会編 2005年8月刊行 定価 本体1,800円
執筆者:
山田邦明 丸山理 小嶋茂稔 深谷克己 斎藤善之 笠原十九司 若桑みどり 南塚信吾 勝田政治 山田朗 西川正雄 金原左門 岩﨑奈緒子 土屋武志
歴史教科書をめぐる日韓対話-日韓合同歴史研究シンポジウム
歴史学研究会編 大月書店 2004年11月刊行 本体2,500円
歴史教科書はどうあるべきか
日本と韓国の歴史学・歴史教育関連10学会によるシンポジウムの成果。
(第1回第2回日韓合同歴史研究シンポジウム)
日本と韓国の研究者が、歴史教科書問題の背景、教科書内容の課題、
相互交流のあり方などを軸に、友好ムードの裏にある日韓の溝をどう埋めるかを提起する。
執筆者:
三ツ井崇 和田春樹 崔柄憲 安田常雄 安秉佑 李成市 木村直也 徐毅植 石山久男 鄭在貞 韓雲錫 荒井信一
『岩波デジタル歴史年表』配信開始
歴史学研究会編 月額315円(税込)
歴史学研究会編『日本史年表第四版』と『世界史年表第二版』のデジタル化が遂に完成しました。
見やすい画面で、キーワード・西暦(和暦)年月日・分野・地域による検索機能を用意。
日本史約20,000件、世界史約23,000件、あわせて約43,000件のデータベースとしてインターネットでご利用になれます。
詳しくは岩波書店ホームページをご覧ください。
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/degi/
『戦後歴史学を検証する-歴研創立70周年記念-』
歴史学研究会編 歴史学研究会 2002年12月刊行 本体1,500円
内容
討論会(一) 社会構成体論と社会主義
池享 西川正雄 永原慶二 吉村武彦 木村英亮 奥村哲
討論会(二) 地域と民族
村井章介 清水透 板垣雄三 栗田禎子 小谷汪之
討論会(三) 人民闘争史研究と現代歴史学
中村政則 増谷英樹 深谷克己 木村茂光 吉田伸之 油井大三郎
『歴史家のよむ「つくる会」教科書──その“おもしろさ”の内幕──』
歴史学研究会編 青木書店 2001年11月刊行 本体価格1,200円
歴史学の到達点から、新しい歴史教科書をつくる会編の歴史教科書を検討すると、どうなるのか。
問題別に専門家が、歴史観の違いなどというゴマカシのきかない数々の誤りと、その誤りの背景にある「意図」を洗い出す。教育の場や身近な学習会などでぜひご活用下さい。
はじめに(榎原雅治)
記紀の神話・伝説の取扱-戦前そのままの国体神話-(菊地照夫)
古代の日本像-生徒に混乱を与える天皇中心・日本中心の記述-(大町 健)
飛鳥・天平美術-ヨーロッパとの比較でしか自らを語れない卑屈-(竹内光浩)
近代史記述の枠組み-政治的目的のご都合主義-(安田 浩)
津田梅子と与謝野晶子-鋳型に押し込められた女性像-(加藤千香子)
近代の教育-教育の機会均等を受け止め、非常時には国家に尽くす国民を創出したいという物語-(大門正克)
「白船事件」とは何か-反米史観がつむぎ出した「物語」-(高岡裕之)
『新しい歴史教科書』が撃沈した日本駆逐艦-国際貢献「美談」の真実とは-(高岡裕之)
『新しい歴史教科書』の日本史像-メッセージばかり、一面的かつご都合主義の叙述-(榎本久人)
朝鮮史のイメージ-隣国への無理解と蔑視がもたらす記述-(糟谷憲一)
無残な世界地図-片隅に示されたずさんと悪意-(稲田 泉)