新刊

『アカデミズムとジェンダー ――歴史学の現状と課題』

歴史学研究会編
有信 真美菜・大江 洋代・清水 領・芹口 真結子・高野 友理香・寺本 敬子・三枝 暁子 著
績文堂出版 2022年5月30日刊行 本体1,800円

ジェンダー平等はもはや「女性の問題」ではない!
キャリア形成、結婚・出産の壁、さまざまなハラスメント――女性研究者が抱える「生きづらさ」の背景をアンケート調査・資料などをもとに明らかにするとともに、男性研究者を交えた座談会を収録し、困難な状況を共に克服する方途を探る。

刊行にあたって

第1部 女性歴史学研究者の現在
 第1章 女性研究者のキャリア形成をめぐる現状と課題
  はじめに
  1 大学・大学院におけるジェンダーをめぐる壁
  2 非常勤講師のおかれている現状
  3 女性の「研究時間」をめぐる現状
  4 再生産労働と女性の「研究時間」
  5 ハラスメントをめぐる現状
  おわりに――現実と「政策」のはざまで 
 第2章 結婚・出産・育児と女性研究者
  はじめに
  1 女性研究者の就業と結婚・出産・育児
  2 世帯形成と妊娠・出産の壁
  3 育児支援とその不足
  4 女性と家庭をめぐるジェンダー・バイアス
  おわりに
 第1部 おわりに
第2部  歴史学に参入する女性研究者の歴史
 第1章 女性が歴史学を研究するということ――西洋編
  はじめに
  1 科学知における女性観、「近代」における男女の性的役割分担
  2 高等教育への女性の参入
  3 歴史の周辺にいる女性
    ――歴史家の補助職としての女性、正規職に就いた女性
  4 歴史学における女性の少なさと、その背景
  5 一九六〇年代後半のフェミニズム運動と女性史の発見
  6 女性たちの歴史家という職業への参入運動
  おわりに
 第2章 女性が歴史学を研究するということ――日本編
  はじめに
  1 制度的障壁を乗り越えて――戦前
  2 制度的障壁の撤廃と女性歴史学研究者の誕生――戦後
  3 女性歴史学研究者による地位向上運動――一九七〇年代
  おわりに
第3部 座談会――歴史学におけるジェンダー平等を展望する
 はじめに
 1 自己紹介
 2 なぜ座談会を開くのか
 3 女性歴史学研究者のキャリア形成をめぐって
 4 ハラスメントをめぐる問題
 5 史学史のなかの女性とジェンダー史のいま
 6 分断をどう乗り越えるか
 おわりに――座談会を終えて
結びにかえて

『「歴史総合」をつむぐ――新しい歴史実践へのいざない』

書影

歴史学研究会 編
東京大学出版会 2022年4月28日刊行 本体2,700円

歴史の学びはどう変わるか――
高校の新科目をめぐって歴史研究者たちが考える実践と
現場から考える新しい授業のかたち

新しく高等学校でスタートする「歴史総合」の授業で、歴史の学び方は大きく変わる。「歴史の扉」をはじめとする大項目に対応した実践を、具体的なテーマで史料も提示しながら展開する。本書の事例を学習の現場でどう活用するか、授業づくりへのアイデアも提起し、これからの歴史への展望をひらく。

はじめに──「歴史総合」と歴史研究
[歴史の扉]
①史実の作られ方・歴史像の形成
(第1講)吉田松陰の虚像を剥ぐ(須田 努)
1. 歴史修正主義と反・知性主義/2.「思想家」という思い込み /3.「教育者」という情念/4. 松陰とは何者であったのか
②「豊かな生活」の成り立ち
(第2講)飢餓と飽食の時代(藤原辰史)
1. 飽食と文明/2. 飢餓を思い起こせ/3. 誰かを計画的に飢えさせる政策/4. 国際問題としての飢餓/5. 肥満と飢餓
(第3講)飽衣の時代(杉浦未樹)1.「使い捨て」の時代の先は/2. 1枚の服に隠されたグローバルな旅/3. 最近30年間に急拡大した古着交易/4. コットン(綿)──世界史を動かした繊維/5. 一つ買ったらほかも買いたくなる──ディドロ効果/6. 低賃金を礎とする生産──「貧しさ」の連鎖/7. 現在地──新たな豊かさを探して
③「日本」の枠組み
(第4講)占領と沖縄基地問題(鳥山 淳)
1. 基地問題の原点としての沖縄戦/2. 基地の拡充と立退き/3. 結束した沖縄の人々/4. 米軍基地の「シワ寄せ」という問題 /5. 裏切られた「祖国復帰」/6.「県内移設」が意味するもの
(第5講)アイヌの人々への「同化」政策(谷本晃久)1. 同祖と同化/2. 劣位の編入/3. 近代の「同化」政策

[近代化と私たち]
④女性の歴史
(第6講)女性の政治参加(大江洋代)
1. 女性のいない立憲制/2. 明治期の婦人参政権獲得運動/3. 大正期婦人参政権獲得運動/4. 昭和戦前戦中期における婦人参政権獲得運動/5. 敗戦と婦人参政権の実現/6. 戦後女性政治家の群像/7. 現在地──なぜ女性政治家が増えないのか
(第7講)主婦と働く女性(佐藤千登勢)1.「新しい女」の登場/2.「幸せな主婦」像/3. 家庭か仕事か/4. 理想的な家族像の形成/5. 第二波フェミニズムの興隆/6. 現在地
⑤産業革命
(第8講)産業革命はなぜ「革命」と呼ばれるのか(長谷川貴彦)
1. 革命論の系譜/2. リハビリテーションの解釈/3. 「大分岐」に向けて
(第9講)時間認識の変化(橋本毅彦)1. フランクリンと時間/2. 時計の起源と発展/3. 18世紀における時計の普及と時間規律/4. 交通の発展と時計/5. 日本の近代化と定時法の導入
⑥政治の担い手
(第10講)共産主義の展開(池田嘉郎)
1. 名もなき人が英雄になる/2. 共産主義思想/3. ロシア革命/4. 20世紀世界と共産主義
(第11講)立憲政治の地域的差異(金子 肇)1. 近代中国と立憲政治/2. 中国の議会選挙/3. ケルゼンの決意と東アジアの今
⑦近代社会と宗教
(第12講)イスラーム世界と近代化(三浦 徹)
1. 憲法における信教の自由/2. 政教分離と世俗化/3. イスラームにおける政教関係/4. 現代における宗教復興/5. 宗教と向き合う
(第13講)近代日本の「宗教」(畔上直樹)1. 西洋独特の「レリジョン」に面食らう/2.「文明」とレリジョン/3. レリジョンの訳語「宗教」の登場/4. 大日本帝国憲法下のレリジョン/5. 現代日本の私たちとレリジョン

[国際秩序の変化や大衆化と私たち]
⑧ファッションの形成
(第14講)身体装飾の歴史(阿部恒久)
1. ヒゲ無しの近世からヒゲ有りの近代へ/2. 第一次世界大戦後はヒゲ無しが広がる/3. ヒゲ有りとヒゲ無しが共存した軍国主義時代/4. 戦後のサラリーマン世界に広がるヒゲ無し/5. 経済大国化・国際化時代のヒゲの様相
(第15講)ファッションの歴史(平芳裕子)1. 近代化の象徴としてのスーツ/2. 開国後のドレスと大正期の子供服/3. 女性服の変化と洋裁技術の普及/4. 戦時下の国民服ともんぺ/5. 戦後の流行現象と既製服の発達/6. ファッションデザインの発展/7. グローバル化における日本のファッション
⑨「1968年」の広がり
(第16講)民衆運動とプロテスト・ソング(油井大三郎)
1. アメリカの公民権運動とプロテスト・ソング/2. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の誕生/3. 「ウィ・シャル・オーバーカム」の日本への越境/4. 結びにかえて
(第17講)人として生きられる社会への希求(荒川章二)1. 成田空港の建設と地元高校生/2.「百姓だって人間だ」/3. 主体性と民主主義
⑩二つの世界大戦
(第18講)兵士たちから見た世界大戦(小野寺拓也)
1. 戦争の世紀と「ふつうの人々」/2. 敵国の住民への憎悪や蔑視/3. 史料の性格について/4.「例外的」な人々をどう考えるか
(第19講)戦争へのプロセス(加藤陽子)1. 戦後の国際秩序の特徴と改造運動の始まり/2. 経済的な国際協調体制/3. 世界恐慌と戦後秩序への挑戦/4. 新しい地域秩序と戦争観

[グローバル化と私たち]
⑪カタストロフの心性
(第20講)災害をめぐる民衆心理(大門正克)
1. 阪神・淡路大震災/2. 関東大震災/3. 阪神・淡路大震災とそれ以前の地域社会──1970・80年代/4. グローバル化のなかで
(第21講)感染症への認識(福士由紀)1. グローバル化と感染症/2. 医学・公衆衛生と感染症/3. 近代日本のコレラと民衆
⑫移民
(第22講)日本からの移民(今泉裕美子)
1. 太平洋島嶼への渡航から始まる日本の海外移民/2. 赤道以北ドイツ領太平洋諸島の占領と日本からの移民の始まり/3. 委任統治と移民/4. 本籍地別人口にみる移民の特徴と植民地社会/5. 移民と現地住民/6. 「海の生命線」としての開発と移民/7. 日米開戦から米軍による占領、引き揚げへ/8. 「南洋群島」を抱え、戦後を生きる
(第23講)移民国家アメリカの二つの顔(貴堂嘉之)1. 坩堝のアメリカ──移民が海を渡る理由/2. 移民国家の法制度と移民排斥運動/3. 連邦移民出入国管理での移民たち──東海岸のエリス島と西海岸のエンジェル島/4. 移民制限の時代へ──移民政策海外への影響
⑬冷戦下の国際社会
(第24講)キューバ危機(上 英明)
1. 冷戦とは何か/2. 脱植民地化と冷戦/3. キューバ危機への道/4. ケネディ神話という歪んだ記憶/5. 危機の本質とは──暴発の危険/6. 危機の教訓──核エネルギーと人間
(第25講)人の自由移動と冷戦体制の終わり(伊豆田俊輔)1. 人の自由移動と世界史のつながり/2. 国際関係の変動/3. 市民社会の再生/4. 移動の自由の進展? それとも後退?
⑭植民地支配の問い直し
(第26講)アメリカの公民権運動(中條 献)
1. 奴隷制廃止後の人種隔離と差別/2. 運動の高まりと非暴力直接行動/3. 運動の新たな局面/4. 大衆の運動/5. グローバルな視点/6. 現代社会とマイノリティ
(第27講)パレスチナ問題(鈴木啓之)1. 帝国の解体と地域の再編/2. シオニズムと植民地主義/3. 中東の脱植民地化/4. 国際社会とパレスチナ人/5. オスロ合意の署名と遠い和平/6. より望ましい解決を探して
⑮グローバル化と地域
(第28講)アメリカの環境運動(小塩和人)
1. 化学物質は健康を守るのか/2. 消費者保護か生産者保護か/3. 環境保護はだれを守るのか/4. 環境正義とは何か/5. 二つの潮流は交わるのか
(第29講)震災からの地域復興(岡田知弘)1.「災害列島」と「災害の時代」/2. 国際的支援と米軍による「トモダチ作戦」/3.「創造的復興」の帰結/4. 被災地の現場で/5.「復興〈災害〉」を超えて

[教室から考える「歴史総合」の授業]
(補講①)いまを主体的に問う(米山宏史)
1. 「歴史総合」のねらいと可能性/2. 近代国民国家の同化政策・内国植民地化を考える──諸事象の比較・つながり/3. 近代化と宗教から、政教分離と信教の自由を考察する──自己との関わり、意志決定/4. 兵士の視点から戦場をとらえ、戦争を理解する──当事者の眼で歴史の現場を直視する/5. アメリカの公民権運動から差別の実相と人間の尊厳を学ぶ──現在とのつながり/6. パレスチナ問題の歴史を学び、解決方法を探る──諸事象の推移、現在とのつながり
(補講②)生徒の関心から問う(田中元暁)はじめに/1. 既成の価値観を揺さぶる/2. 女性/3. 身近なところから/4. 比較の視点
(補講③)図像史料を読み取(塚原浩太郎)

シリーズ刊行物

日本史史料歴史学研究会 編
世界史史料歴史学研究会 編
日本史講座歴史学研究会・
日本史研究会 編
歴史学の現在 歴史学研究会 編
港町の世界史 歴史学研究会 編
地中海世界史 歴史学研究会 編
日本史年表 歴史学研究会 編
世界史年表 歴史学研究会 編
現代歴史学の成果と課題 歴史学研究会 編

その他の刊行物

2020年12月刊行『コロナの時代の歴史学』歴史学研究会編
中澤達哉・三枝暁子監修
2019年05月刊行『歴史を未来につなぐ
 ――「3・11からの歴史学」の射程』
歴史学研究会編
2019年02月刊行『天皇はいかに受け継がれたか
 ――天皇の身体と皇位継承』
歴史学研究会編
加藤陽子責任編集
2018年12月刊行『創られた明治、創られる明治
 ――「明治150年」が問いかけるもの』
日本史研究会・歴史科学協議会・
 歴史学研究会・歴史教育者協議会編
2017年05月刊行『歴史を社会に活かす
 楽しむ・学ぶ・伝える・観る』
歴史学研究会編
2015年05月刊行『歴史学と、出会う
  ――41人の読書経験から』
歴史学研究会編
2014年12月刊行『「慰安婦」問題を/から考える
 ――軍事性暴力と日常世界』
歴史学研究会・
日本史研究会編
2014年10月刊行『史料から考える 世界史20講』歴史学研究会編
2013年05月刊行『歴史学のアクチュアリティ』歴史学研究会編
2012年12月刊行『証言 戦後歴史学への道』歴史学研究会編
2012年05月刊行『震災・核災害の時代と歴史学』歴史学研究会編
2007年02月刊行『歴史学研究』別冊 総目録・索引
 1933年(NO.1)~2006年(NO.822)
歴史学研究会編
2005年08月刊行『歴史研究の現在と教科書問題
 ――「つくる会」教科書を問う』
歴史学研究会編
2004年11月刊行『歴史教科書をめぐる日韓対話
 ――日韓合同歴史研究シンポジウム』
歴史学研究会編
『岩波デジタル歴史年表』歴史学研究会編
2002年12月刊行『戦後歴史学を検証する
 ――歴研創立70周年記念-』
歴史学研究会編
2001年11月刊行『歴史家のよむ「つくる会」教科書
 ──その“おもしろさ”の内幕』
歴史学研究会編