新刊
『データサイエンスが拓く歴史学』
歴史学研究会編『データサイエンスが拓く歴史学』
大月書店 2025年5月23日刊行 定価3,850円(税込)
コンピュータを用いた量的分析が質的分析をどのように深化させるのか。データ分析から相関関係のみならず因果関係を導出することは可能か。また、地理・空間情報の解析を通して何が見えてくるのか。デジタル技術活用の実例から論じる。
総論 計算と解釈の間――歴史家のデジタル・キッチンへようこそ(小風尚樹)
第Ⅰ部 量と質の相互補完
概論(村井 源)
第1章 テキストデータの構造化と文献研究――明清時代カトリック漢訳教理書の事例(王 雯璐)
第2章 原爆記念日の社説から見た被爆地広島の平和意識の変容(渡壁 晃)
第3章 日英村落史的対比研究とデータ分析――過去・現在・近未来(髙橋 基泰)
コラム1 テキスト分析の手順(竹内 綾乃)
第Ⅱ部 相関から因果へ
概論(長野 壮一)
第4章 データ分析に見る近代フランス地方幹部候補行政官の性質変化――ピレネー=オリアンタル県参事会員を事例として(岡本 託)
第5章 戦後日本における農家の労働と出産の季節性――世帯単位データによる統計分析(五十嵐 英梨香)
第6章 明治末期日本における大気汚染と乳児死亡――計量分析によるアプローチ(井上 達樹)
コラム2 定量的な分析に必要な基本概念とその限界(中川 奈津子)
第Ⅲ部 地理・空間情報の解析
概論(後藤 真)
第7章 古代吉備の開発と渡来民(今津 勝紀)
第8章 明治7年の種痘規則布達に伴う足柄県東部における天然痘罹患率・死亡率急減の可能性――「江戸時代における人口分析システム(DANJURO)」 による分析結果(川口 洋)
第9章 明治期地籍図の再評価とGISを用いた歴史的景観研究(福村 任生)
第10章 衛星データの活用と中国古代史研究――秦漢時代の「牧」を事例として(村松 弘一)
コラム3 歴史GISの有用性(山中 美潮)
『「主権国家」再考―近代を読み替える』
中澤達哉責任編集/歴史学研究会編『「主権国家」再考―近代を読み替える』
岩波書店 2025年4月16日刊行 本体4,730円
長い宗教対立と戦争の後、国家同士が互いの「主権」を尊重しあうウェスファリア体制が生まれた、といわれる。しかし、「主権」を主張した他国への侵略や人道危機が後を絶たない。なぜ「主権」国家は争い合うのか。複合・礫岩国家、帝国、国民国家が織りなす「主権」の多様性を歴史的にひもとき、近代の初発を問い直す。
はじめに――いま「主権国家」を論じる意味(中澤達哉)
序 章 主権という概念の歴史性(近藤和彦)
第Ⅰ部 複合君主政/礫岩国家―近世主権国家
第1章 君主政の狭間から見る近世的主権国家(古谷大輔)
第2章 一七世紀ブリテン諸島における礫岩国家・主権・法の支配(後藤はる美)
第3章 ブルゴーニュ国家のかたち―複合君主政のネーデルラント的経験(青谷秀紀)
第Ⅱ部 帝国論の再定位―近世〜近代主権国家(1)
第4章 イギリス帝国とインド―主権を分有する帝国(稲垣春樹)
第5章 ロシア帝国―専制・臣民・領域(青島陽子)
第6章 近世「帝国」としての大清帝国―マンジュ(満洲)による集塊とその構造(杉山清彦)
第Ⅲ部 国民国家の再点検―近世〜近代主権国家(2)
第7章 競合する主権と国民国家―アメリカ革命の風土(石川敬史)
第8章 帝国の一体性と諸国民の主権―フランチシェク・パラツキーのハプスブルク帝国国制論(篠原 琢󠄀)
第9章 オスマンからトルコへ、機能の分立から権力の集中へ―ジェラーレッティン・アーリフ、政治家と法学者のあいだ(藤波伸嘉)
第10章 ネイションの外縁とジェンダー―イタリアの境界をめぐって(小田原琳)
第Ⅳ部 翻訳される主権―近世〜近代主権国家(3)
第11章 近世イタリア諸国の「主権」を脱構築する―神聖ローマ皇帝とジェノヴァ共和国(皆川卓)
第12章 オスマン帝国とアフリカ分割(大河原知樹)
第13章 「藩属」から「主権」へ―中国の生成として(岡本隆司)
第V部 主権国家と政治思想
第14章 政治思想としての主権と国家―ボダン再読(安武真隆)
第15章 近世フランスの主権と国家―ボダンの受容のあり方をめぐって(佐々木真)
終 章 主権・王冠・レスプブリカ―ハンガリー・ジャコバンの「王のいる共和政」論と国民主権分有論の淵源(中澤達哉)
あとがき
シリーズ刊行物
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世界史史料 | 歴史学研究会 編 |
日本史講座 | 歴史学研究会・ 日本史研究会 編 |
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地中海世界史 | 歴史学研究会 編 |
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