行政文書の公開に関する要望書

 宮内庁長官 羽毛田信吾 殿

2007年3月23日 歴史学関係12団体 (注) 

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下情報公開法と記載)が施行されてから5年が経過しました。その間、昭和天皇とマッカーサーの第1回会談の議事録が公開されるなど、多くの重要資料が公開されてきました。しかし、その一方で、資料公開の遅延による裁判が提訴されるなど、運用上の様々な問題も明らかになってきました。そこで、以下の諸点につき、貴庁に改善を要望いたします。

 なお、5月末日までに本要望書へのご回答をいただけますようお願い申し上げます。



要望事項

 1.行政文書への情報公開請求に対し、その公開を期限内に迅速に行うこと。また、そのための人員及び予算の充実化を図ること。

 2.一度公開した行政文書は写しを書陵部に移管し、誰でも閲覧を可能な状態にすること。

 3.行政文書及び書陵部所蔵の歴史的資料のファイル管理簿については、ファイル名をそのファイルの内容がわかるような名称にすること。また国立公文書館と同様に、簿冊の細目の公開を積極的に行うこと。

 4.保存期間の終了した文書については、書陵部に移管し、目録を整備した上で速やかに公開を行うこと。

 5.書陵部所蔵の歴史的資料への閲覧請求に対し、その公開の決定を迅速に行うこと。



要望の趣旨

 1.情報公開法第十条に規定された「開示請求があった日から三十日以内」の資料公開の公開原則を遵守することを要望する。また、第十一条の適用により、公開までに六十日以上かかる場合も、できる限り速やかに公開の手続きを行うことを要望する。またその人員及び予算の充実化を図ることを要望する。

 2.一度公開された行政文書の中で、歴史資料としての価値が認められる文書については、書陵部で誰でも自由に閲覧することができるようにすることを要望する。すでに外務省外交史料館で同様のことが行われており、貴庁でも導入を検討されたい。

 3.行政文書及び書陵部所蔵の歴史的資料のファイル管理簿にあるファイル名は抽象的な名称が多く、表題から内容が把握できない。総務省の「情報公開法の制度運営に関する検討会」の報告書(2005年3月29日)によれば、行政文書ファイルの名称から内容が把握できないために、請求対象文書が特定できないケースが多発しており、「改善措置」として「ファイルの内容ができるだけ分かりやすいようにファイル名を記載する」ことが指摘されている(21、22頁)。これに沿ったファイル名の改善を要望する。また、書陵部に所蔵されている歴史的資料については、国立公文書館と同様に、簿冊の細目を公開することを要望する。

 4.貴庁の行政文書管理ファイル簿の「保管期間満了時の措置結果」によれば、保存期間が終了したのちに延長手続きが取られてそのまま現用文書となっているファイル数は9749件(2006年9月26日現在)にものぼる。それに対し移管されたものはわずか244件(上記同)にすぎない。延長手続きが取られている文書について再度精査を行い、実際に使用していない文書については、速やかに書陵部に移管し、目録を整備して公開を行うことを要望する。

 5.書陵部所蔵の歴史的資料の閲覧を申し込んだ際に、1年以上開示決定が出ないケースがいくつか報告されている。情報公開法が書陵部の所蔵資料を行政文書として対象にしていないのは、その文書が「歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別な管理がされて」(情報公開法第2条)おり、それが一般に公開されている(情報公開法施行令第3条)ことが前提とされているからである。その資料に対して、請求後速やかに閲覧ができないのは、閲覧の制限を行っているに等しい。請求に対して速やかに公開の決定がなされることを要望する。

以上  

  (注)大阪歴史科学協議会、史学会、地方史研究協議会、東京歴史科学研究会、同時代史学会、名古屋歴史科学研究会、日本史研究会、日本歴史学協会史料保存利用特別委員会、広島史学研究会、歴史科学協議会、歴史学研究会、歴史教育者協議会



本要望書に対する宮内庁長官官房秘書課調査企画室文書管理係長の回答(2007年5月14日付) →PDFファイル

この声明は、『歴史学研究』829号(2007年7月)78頁に掲載されました。