有事関連法案に反対する特別決議

 現在、武力攻撃事態法案などいわゆる有事関連3法案が参議院で審議されている。本法案は、これまでの日本の安全保障政策のみならず、基本的人権の制限など国家や社会のあり方全体を大きく変えようとする重大な内容をもつにもかかわらず、政府・与党・民主党などが微修正のみで成立させようとしていることはゆゆしき問題である。

 本法案の推進者たちは、現行法における有事関連規定の「不備」を指摘している。しかし、これは戦後の日本が日本国憲法の平和主義に基づく法体系を構築してきたという歴史的経緯を無視した議論である。現行法に国家緊急権関連規定がないのは、大日本帝国憲法の体制下で戒厳令をはじめとする国家緊急権関連規定が対外侵略戦争の遂行や内外における人権抑圧をもたらしたことへの反省をふまえたものであり、現行法の「不備」などではない。

 現在の日本に求められている外交・安全保障政策上の課題とは、まず何より自らが過去の歴史の教訓について謙虚に学び、対話に基づく平和外交を推進することを通じて、アジアをはじめとする世界の人々の平和と友好の願いに応えることである。

 ところが、今回の有事関連法案は、日本国憲法の平和主義を真っ向から否定して、「有事」という名の戦争に向けた戦時法制をつくろうとするものである。国会論戦のなかで小泉首相が「自衛隊は実質的には軍隊」だと述べていることに示されるように、その先には集団的自衛権の行使や憲法「改正」までが射程に入れられているといえよう。

 われわれは、日本のさらなる軍事大国化や米国の先制攻撃戦略に基づく戦争への参戦に道を開く有事関連法案に断固反対し、同法案の廃案を強く求めるものである。

2003年5月24日
歴史学研究会総会